2018年7月9日月曜日

青梅市の河鹿園へ

御岳渓谷ぞいに建つ河鹿園へ。







河鹿園は懐石料理の老舗旅館でしたが
昨年、たいへんに惜しまれつつ閉業。

現在は茶人である御当主によって
美術館的な存在として開館しています。

例のごとく、しずく姐さんに教えていただいての訪問です。





▼お広間には国宝級・博物館級のお宝がザックザク!
すべて御当主のコレクションなのだそうです。
1億、2億のはした金じゃ買えません。たぶん。
(ゲスい勘定してすんません(;^ω^)ゞ)




え? 川合玉堂とか、円山応挙とか、伊藤若冲などの
『お宝鑑定団』でよく耳にする作品が
素っ裸で展示されてるんですケド......?


御当主いわく、
「展示ガラスの中にあっては作品の本当の価値は
楽しめないと思うのです」。

ひょええぇぇぇぇ。 さ、さすが、ホンモノの資産家は違いますのぉ。


▼かの小林一茶の直筆の句も
縁側の明るいところにシレッと下がっていて驚愕 (゚Д゚;ノ)ノ
ええーっ、日に焼けちゃいそうなんですけどぉ!!



そんな贅沢な美術鑑賞と参りましょう。


▼「のっぺらぼう」を描いたもの。
石をよけると......目があります(笑)




茶人である御当主は
茶道、香道、華道、書道、すべて修められたようで
館内のあしらいがどこもピシッとしています。

至るところが拭きみがきあげられ、
ホコリ1つも落ちていない黒光りする館内を進みます。



▼こちらの通路には、戦時中にこの旅館へ疎開してきた
文化人や財界人、歌舞伎役者による
直筆の短歌などが飾られています。




お金持ちは戦時中でもこんな贅沢な旅館に疎開して
お懐石に舌鼓うちながら温泉入ってたのねぇ。チッ。


▼お風呂場。天上は竹あみになっていて
天然の換気扇になっているそうです。





▼創業時のタイルが一部残っていて。









▼各部屋の、季節の掛け軸にあわせて
御当主による生け花があしらわれています。




季節の花を、2、3種でキメるそうです。

だよねぇ。
『プレバト』の生け花コーナーみたいな
モンステラにバラ、みたいなやらかし
茶人の生け花ではやらねーですよね。

(→ 2016年4月12日  『ダンナ、初いけばな』






▼「桔梗にツルが巻いていたのでそのまま生けました」
とすごく嬉しそうなご主人。ラブリー♪








すべてのお部屋が角部屋になるよう
贅沢な設計がされています。
あぁ、去年まで営業していただなんて......泊まりたかったなぁ。













▼海に見立てたヨコ桟に富士山、手前には松、
そして二艘の帆掛け船のところだけ
特別に孤を描いたタテ桟が洒落てます。
外の手すりの意匠もいいねぇ。

障子に色をにじませる、外の景色。 It’s Cooool!



▲富士山の前に、

▼富士山の掛け軸。静岡県側から見た富士山の図だそうです。








この日は6月30日。

観測史上最速の梅雨明けだとはいえ
6月なのにセミがぐゎんぐゎん鳴いてました。


黒塗りのテーブルも、大正ガラスもピカピカに磨き上げられて。




窓のすぐ下は御岳渓谷の翡翠色の流れ。

夕暮れになると川べりで鳴きだすカジカカエルが
旅館の名前『河鹿園(かじかえん)』の由来だそうです。


こちらのお広間で、地域名産の人参ジュースをいただきました。



窓から入ってくる川なでの涼風がここちよくて。

ダンナ、涼風と景色にドはまりして
「別荘買おう!」と気が大きくなってました。

(ほんじゃ、まず、宝くじ当てなきゃね)


美術にまったく興味がないあたい。
しかも和モノは特に興味が薄いのだけど
御当主のお話が上手で、とても楽しめました。

美術品の説明って、とかく
歴史云々から始まってつまらない場合が多いけど(まず歴史が嫌いなんで(^o^ゞ)、

こちらの御当主のおはなしは、
  • 染み(汚れ)を景色として愛でる楽しみかた
  • 床の間での生け花の位置の決め方
    (掛け軸の風景とのかねあい)
  • 木目の楽しみかた
などなど『美の壺』的な愛で方をお話いただきました。


お話を伺っているうちにすこしだけど自分でも
見どころがわかるようになってきて、

お館を一周終えるころには
ドシロウトながら目利きになったかのように
目が走るようになり、とっても楽しかったです。


河鹿園はNHKの上質番組『日曜美術館』でも
そのお宝や建物が紹介されたそう。

国宝級、博物館級のホンモノのお宝が
ガラスなしで直接みられる、ということは
こちらも襟元正して見せていただかなくちゃーいけません。


近づいて拝見するときには口元に手やハンカチをあてて
鼻息やツバが飛ばないように気をつけながら
拝見させていただきました(;^ω^)ゞ

(御当主はそんな注意をおっしゃらなかったけど
まめ吉的「レディの所作」ですわん)


さて。

旅館時代に使用していた
会席料理のうつわが格安で購入できました。

この話はまた明日 → 『河鹿園 我楽多(がらくた)市へ』